東洋はり医学会とは

東洋はり医学会は趣意書にあるように、脉診流経絡治療の普及啓蒙と治療家育成を目的としている学術団体です。
我が三重支部は、会員外の鍼灸師に向けたセミナーの企画運営や、地域のイベントへの参画、他団体での学術発表にも力を入れています。

趣意書

1、我々は、臨床を通して古典を再検討し、病体を通じて経絡経穴を把握し、以て伝統的な鍼灸術の本道を体得せん事を期す。

1、我々は、正しい経絡治療の学理と術技を修得する事によって、鍼灸人としての人格と実力を涵養し、以て鍼灸家の社会的地位を確立せん事を期す。

1、我々は、古典による経絡理論を正しく理解実践し、経絡経穴の普及啓蒙に努め、以て偉大な祖先の文化遺産を伝承せん事を期す。

沿革

昭和46年

東洋はり医学会三重支部 設立

以降しばらく記録が残っておらず活動内容不明

平成19年

分かりやすい経絡治療学術講習会(学生・一般鍼灸師向けの講習会)開催

岐阜支部主催、三重・東海・富士支部共催

平成22年

三重県に市民活動団体として登録

平成25年

第7回 子育て応援!わくわくフェスタ出展

出展内容:小児はり体験、親子スキンタッチ教室

平成26年

第1回外来講師講演会開催

テーマ:不妊症と鍼灸治療
講師:明生鍼灸院 副院長 木津正義

平成27年

第1回シンポジウム開催

テーマ:不妊とその周辺

平成28年

第2回外来講師講演会開催

テーマ:妊娠中の患者に対する鍼灸治療
講師:東京スキンタッチ会会長 大下義武

平成29年

一般社団法人 設立(準備中)

 

 

東洋はり医学会の脉診流経絡治療(鍼灸師・学生向け)

鍼治療には数多くのスタイルがあり、経絡治療でさえもいくつかの手法があるため、どれが良いのか、どこが違うのかなど、迷うかたも多いと存じます。 我々は東洋はり医学会方式の経絡治療を「脉診流経絡治療」と名付け、普及に努めています。ここでは当会の経絡治療の大きな特徴である4つの事柄を紹介します。

病の根本原因である「証」を導きだす

東洋医学においては、たとえ病体が多くの愁訴から形作られていたとしても、その根本原因である「証」を的確に判定し施術することで病苦の寛解を図ることができるとされています。本会は「脈診」を重視しており、症状や身体の所見、問診等から得られた事項に脉診を加えた複合的な判断により、最適な東洋医学的診断・施術ができると考えています。

「証」に応じた本治法により経絡の調和を図る

補法により不足した気を補い、瀉法により余分な気を取り除きます。また、本会独自の手法のひとつに、気の滞りを流す和法があります。
1鍼ごとに身体への影響を脉や腹部で確認することで、病体の変化に速やかかつ細やかに対応することができ、その結果、少ない刺激量で治療効果を得ることが可能となります。

片方刺しによる相剋調整

片方刺しによる相剋調整とは、相剋する経が共に虚する患者を治療する為、臨床実践の中から生まれた治療方式です。治療する経を左右に振り分け、先に操作する方を「本証」、後に操作する方を「副証」としています。

一般的に、「相剋する経が共に虚すことは無い」と考えられていますが、ライフスタイルや疾病構造が多様化する昨今、 難経69難の治療法則を重ね用いた重虚極補の治療法である相剋調整が、臨床において威力を発揮しています。東洋はり医学会の脉診流経絡治療におけるもっとも大きな特色と言えます。

多彩な刺鍼法や補助療法

病体はただ単純に虚や実を表しているわけではありません。東洋はり医学会では、虚実の程度、邪の状態にあわせた刺鍼法を用いて、それらに対応しています。また、救急法・補助療法としての子午・奇経・刺絡治療などの研究も進めています。

 

経絡治療とは(患者様向け)

経絡治療は、中国の古典鍼灸術を日本の治療家が長い時間をかけて繊細な日本人向けに研究・改良を重ねて編み出されたものです。
その特徴のひとつが、痛くない鍼と熱くないお灸。
鍼が痛くなくて灸も熱くないだなんて、俄かには信じられない方もいらっしゃるかもしれませんが、これには経絡治療の治療目標が関係しているのです。
まずは経絡治療ついて、4つの点から少し詳しく説明いたします。

経絡治療の目的は生命力の強化

東洋医学では、精神や肉体の正常な活動には『気』の滞りない循環が必要であるとされています。
『気』の流れる道を経絡といい、経絡の要所に経穴(ツボ)があります。
『気』は生命力そのものであり、これらが何らかの原因によって滞ったり消耗してしまったりすることで、様々な症状が現れてきます。 これがいわゆる病気の状態です。
このとき我々の身体は、正常な状態に回復しようと必死で戦おうとします。しかし時には戦うだけの力が体に備わっていないこともあります。これではなかなか症状が改善しなかったり、新たな症状が現れたりしてしまいますね。
そこで経絡治療では全身を巡る『気』のバランスを調整することによって生命力を強化ようとするのです。
その結果、自らの生命力によって、病に罹りにくくなったり打ち克ったり出来るようになっていくのです。
「病気を治すのは患者自身の生命力であり、鍼灸師はその手助けをする」と、いうのが経絡治療の考え方です。
東洋はり医学会 初代会長の福島弘道は著書『経絡治療学原論』の中で、以下のように述べています。

経絡治療とは『病体を気血の変動として統一的に観察し、総ての病変を経絡の虚実となし、その主たる変動経絡を主証として把握し、経穴をこれが診断と治療の場として鍼灸を以って補瀉調整し生命力の強化を図る随証療法』である

皮膚や脉の変化を診る

経絡治療では、望・聞・問・切からなる四診法によって、病体(患者様の状態)を把握します。
望診では姿形や皮膚の色などを見ることで、聞診では話す声の調子や発するにおいなどを聞いたり嗅いだりすることで、問診では生活習慣や症状に関することなどを質問し答えていただくことで、切診では症状を呈する部位や関係する経絡上の皮膚を触ったり手首の脉を診たりすることで情報を収集します。
そして四診法によって得た情報に基づき、鍼を用いて手足の経穴(ツボ)に対する操作を行います。
この操作が適切に行われたかは、手首の脉や腹部その他経絡上の皮膚を診ることで判断され、何度か行われる操作の度に確認作業を繰り返します。
東洋はり医学会方式の経絡治療は、『脉診流』の名を冠するほど脉診を重要視しています。

やわらかい刺激

前述の通り経絡治療の目的は生命力の強化です。
その際の治療目標である『気』は、身体の表面や浅い部分を流れているので、鍼の操作も身体の表面や浅い部分で行われます。

ここで何より重要なのは、『気』の調整に必要な刺激の量がごく弱いもので十分だということ。

だから痛くない鍼と熱くないお灸で事足りるのです。
経絡治療で主に使用する鍼は銀やステンレス製のごく細いもので、その刺激も経絡治療以外の方法に慣れた方なら不安になってしまうかもしれないほど微弱です。多くの場合、体内に深く刺入することはありません。
刺さらない鍼を用いて、皮膚に先端を接触させたり撫でたりといった操作を行うこともあります。
管を用いて体内に鍼を弾入したり、体内へ深く刺入した鍼に抜き差しや通電といった操作を加えたりする方法に比べれば、身体に与えられる物理的な刺激の量は格段に少なくなると言えます。

幅広い適応

鍼灸治療といえば腰痛や肩こりなど運動器の症状に対する治療手段として認識されている方が多いと思いますが、実際はもっと適応範囲の広いものです。
もちろん反射を利用した筋緊張緩和や、強い刺激による痛みのマスキングのような方法では適応となる症状も限られてきますが、『気』を治療目標とし、生命力の強化を目指す経絡治療であれば、運動器の症状に限らず内科・耳鼻科・婦人科・神経内科的な症状に対してもその効果を発揮することが出来ます。

東洋はり医学会会員の治療院では、肩こりを主訴に来院された方が経絡治療を受けるうちに、同時に抱えていた便秘や抑鬱傾向などの症状まで改善されていく事も珍しくありません。